歌川 広重

うたがわ ひろしげ

【1797年~1858年】

東海道五拾三次(保永堂版)

歌川広重は、江戸末期の浮世絵の世界に新しい風景画のスタイルを作り上げ、遠くヨーロッパ画壇にまで多大な影響を与えた絵師です。幕府の火消同心の家に生まれた広重は、浮世絵師の道を志して歌川派の豊広に入門。役者絵や美人画を描く習作期を経て、1831(天保2)年頃から名所絵(錦絵)を本格的に発表し始めました。

1832(天保3)年に八朔御馬進献(毎年幕府が朝廷に駿馬を献上する年中行事)の行列に同行した道中で取材したスケッチ日記をもとに、翌年の1833(天保4)年、出世作ともいえる「保永堂版東海道五拾三次」を刊行。大判全55図の作品は爆発的な人気を博し、広重の風景画家としての地位を揺るぎないものとしました。

旅の風物、人情、自然景観などを見事に表現し、ヨーロッパの遠近法を取り入れた卓越した構図や、「広重ブルー」と名高い藍色をはじめとした鮮やかな色彩は多くの人の心を掴みました。グラデーションで表現された空や水の表現や、雨・雪・霧・風といった四季を感じさせるもの、朝・夕暮れ・夜といった深い旅情を誘う場面など、まるでその場を旅したかのように感じられる空気感は、時代の移り変わりを経ても色あせず楽しめます。

「広重座図」三代目 歌川豊国

「広重座図」
三代目 歌川豊国

東海道の宿場

東海道の宿場

東海道五拾三次 全作品

始まりの日本橋から最終地京都までの所蔵品全55作品をご紹介します。

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