展覧会情報

収蔵品による 斎藤真一展 哀愁への誘い
斎藤真一画伯に惹かれましたのは、知足美術館が誕生するずーっと以前のことです。1980年代の初め頃、かつての新潟三越で開催されたお得意様向けの展示会に誘われた時です。そこでは三越系列会社「室町美術」の美術部長はじめ係員が熱心に売り込みを行っていました。入場してふと見上げますと、大家巨匠作品の中の片隅に小さな油彩画が掛けてあり、『星の光』という画題の作品でした。
夕暮れ時、雪道をとぼとぼと次の集落へ向かう瞽女(ごぜ)たちの姿、そこに今まさに沈まんとする作家独特な赤色の太陽が印象的でした。そこから、この作家の作品に興味を持つようになってゆきました。
そもそも藤田嗣治との出会いをきっかけに、北国の風土や人々の暮らしに深い関心を寄せ、盲目の旅芸人である瞽女の姿を描き続けた洋画家です。
全くの私見ですが、作家の作品には自らの持つ郷愁があり、その中に考え方や生き方へのはにかみと偽悪家の要素を持ち合わせていると思います。一方で、この作家が持つ頭脳と知恵による独特な画面構成・色彩など、すべてにおいて童心を臆病にならず表現する飾り気のない部分もあります。それは、作家自身が「誠実な人生の在り方」を求めているからだと思います。
それまで自由な題材を描いていた作家は、1960年頃から題材を「瞽女」に移しました。その結果、「瞽女」が話題になると誰もがこの作家の名と作品を思い浮かべると思います。その後、1980年代にこの主題から離れて、自由奔放なロマンの境地へ誘う作品を描いています。作家は1922年に岡山県で生まれ、1994年に72才でその生涯を閉じました。
失われてゆく風景や、人々の記憶を描き続けたその作品は、時の経過とともに忘れ去られてゆくものへの深い悲しみと哀惜の念が感じられます。とりわけ瞽女を描いた作品は“斎藤芸術”の到達点として、多くの人々の心をとらえ続けています。そして没後も作品はよみがえったように見直されて生前以上に新たなファンを作り、現在もブームを巻き起こしております。
【会期】
2026年8月17日(月)~10月15日(木)
【入館料】
一般500円、中学生以下無料
【休館】
日曜・祝日
