コレクション
Collection
土田 麦僊
つちだ ばくせん
【1887年~1936年】
土田麦僊は新潟県佐渡市(旧新穂村)に生まれ、49年という短い生涯を生きた日本画家です。竹内栖鳳に師事し明治から大正期の京都画壇において花形的な存在でした。花鳥画に加え、大原女や舞妓など働く女性にスポットを当てた大作を多数発表しました。また、西洋絵画に学び日本画の新しい様式を追求するなど、前衛的な画家でした。
麦僊は無類の努力家で、多数の素描や草稿を描いたことでも知られます。対象の理想美を求めて、飽くことなくデッサンを繰り返しました。人物の素描では同じポーズや顔、衣装などを幾度も描いたり、芥子や朝顔を種から栽培して実直に写生を繰り返したりと、その姿勢は単に対象の形や線を写すのではなく、麦僊の求める「内なる美」を追求するための真摯な探求心の表れともいえます。
当館所蔵の素描の数々は、1916(大正5)年作の「三人の舞妓」、そして昭和に入ってから描かれた「大原女」「娘」「燕子花」といった大作のために繰り返し描かれた人物の素描が多数を占めています。また1921(大正10)年に渡欧し、翌年パリ郊外のヴェトイユに滞在して描いたフレスコ画やスケッチは、イタリア中世のポンペイの壁画やフレスコ画に感銘を受け、日本画との共通性を見出して研究を行ったものです。現在、本画はもちろん素描画を含め120点を超える作品を収蔵しております。
絹本彩色
H310×W425mm
老松雉子図
1925年
絹本彩色
H1,265×W270mm
三人の舞妓
1916年
紙、朱
H380×W565mm
初夏小景
絹本彩色
H420×W510mm
燕子花
1928年
絹本彩色
H380×W430mm
ヴェトイユ風景
1922年
紙本彩色
H225×W270mm