斎藤 真一

さいとう しんいち

【1922年〜1994年】

1922(大正11)年、岡山県倉敷市(旧味野町)に生まれ、明治期の情景や失われた日本文化を数多く描いた洋画家です。日展、光風会展に出品し入選と受賞を経て、1959(昭和34)年からパリに留学。モンパルナスにある芸術学校で学びました。帰国に際して親交のあった藤田嗣治から「東北や越後の良さを、自分の画風で描きなさい」と勧められたことをきっかけに津軽や越後を旅し、代表作となる「瞽女(ごぜ)」シリーズを描きました。盲目の女性芸能者「瞽女」に惹かれ、10年あまり取材のため越後に通いました。

斎藤は20世紀の高度経済成長期により衰退した「瞽女」や「明治吉原」といった日本文化の姿を独特の作風で表現したことで注目されます。郷愁漂う独特の世界は、失われていった日本文化の記録にとどまらず、そこに生きた人々の存在を確かに表現しています。また自由なロマン世界を表現し、晩期の「街角」シリーズまで、ノスタルジックな世界観と斎藤独自のリアリズムを追求しています。

1980年代に描かれた「ワイングラスの乙女」は、斎藤のロマン精神が表現された一枚です。瞽女の画に見られる赤色が生かされており、描かれた女性には哀愁と独特のエロティシズムを秘めた美しさがあります。その作風に魅せられ、当館が作品収集を続けている作家の一人です。現在、50点余りの作品を収蔵しております。

越後瞽女日記「ふさ子の唄」

越後瞽女日記「ふさ子の唄」

1972年
板、油彩
H227×W158mm

エストレモスの灯

エストレモスの灯

1992年
カンバス、油彩
H270×W215mm

ワイングラスの乙女

ワイングラスの乙女

1987年
カンバス、油彩
H516×W396mm

風船

風船

1966年
カンバス、油彩
H990×W775mm

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越後瞽女日記「ふさ子の唄」

越後瞽女日記「ふさ子の唄」

エストレモスの灯

エストレモスの灯

ワイングラスの乙女

ワイングラスの乙女

風船

風船