伊藤 赤水(五代)

いとう せきすい

【1941年〜】

赤水窯は江戸後期から続く新潟県佐渡市の無名異焼(むみょういやき)窯元です。

無名異焼とは、伊藤甚平が佐渡金山の鉱脈から産した赤土(無名異土)を用いて製造したことに始まった陶器です。無名異焼の特徴は美しい赤色にあります。また原料が鉄分を含み高温で焼き上げるため非常に硬度の高い仕上がりとなり、叩くと金属のような音がすることも特徴です。

当館が所蔵する五代伊藤赤水は2003(平成15)年に無名異焼が無形文化財に指定されると共に、その工芸技術保持者として人間国宝認定されました。無名異焼は元来、赤色をいかに美しく出すかという点が目標とされていました。しかし五代赤水は無名異土に含まれる酸化鉄が熱で黒く変色する「窯変」という部分を敢えて作品に活かすことにより、黒色とのコントラストで赤色をより美しく見せる独特の作風を確立しました。加えて色の違う土を重ねて模様を作り、それを輪切りにして断面を並べて模様を形づくる「練上げ」という技法を用いる作風も魅力のひとつです。

無名異窯変壷

無名異窯変壷

1993年
陶芸
W380mm×D380mm×H500mm

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無名異窯変壷

無名異窯変壷