怪・蜃気楼

こんにちは、学芸員Yです。
夏も終盤なはずなのに、気温はまだまだ30度越え・・・
まだまだ熱中症対策にも気が抜けない日が続きそうです。

 

妖怪のせいなのね

突然ですが、今回は夏らしく妖怪について書こうと思います。
「妖怪」というのは、多少の恐怖はつきものなのに、子どもから大人まで幅い世代に好かれる不思議なコンテンツだと思います。
わたしもそんな妖怪好きのまま育った大人の一人です。

 

蜃気楼(鳥山石燕:今昔百鬼拾遺)

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史記の天官書にいはく、海旁蜃気は楼台に象ると云々
蜃とは大蛤なり
海上に気をふきて、楼閣城市のかたちをなす
これを蜃気楼と名づく
又海市とも云

(鳥山石燕:今昔百鬼拾遺より)

「蜃」とは巨大な蛤であり、これが「気」を吐いて「楼」閣の幻を見せる
これを「蜃気楼」という

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ハマグリの別名を蜃と呼び、海中から気を吐いて楼閣を作り出すという話は
中国の古書、また日本で広く伝承されている怪異の一つです。
現代での蜃気楼とは暑い日などに遠くの景色が伸びたり反転したり、気候と光の屈折によって起こる自然現象のことですが
科学的説明が難しかった昔は、この現象を妖怪の仕業としました。

妖怪の面白みのひとつはこういった点にあると思います。
昔の人にとっては、例えば”寒い日に身震いする”だけでも妖怪のせいだったりするのです。
大体の事象に説明がつき、知識人も多い現代ではまずありえない事ですが
子どもに人気の某アニメで歌われた 「妖怪のせいなのね♪」 は、昔はあながち冗談でもなかったのです。

 

そして個人的に一家に一冊あってもいいと思う妖怪画集がこちら


鳥山石燕 画図百鬼夜行

江戸時代の浮世絵師、鳥山石燕の妖怪画集!
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