東海道五拾三次之内 大磯 虎ヶ雨

とうかいどうごじゅうさんつぎのうち おおいそ とらがあめ

大正期の大磯

大正期の大磯「東海道(東海道五拾三次 広重と大正期の写真)」より

手前に刈り取った耕地、宿場の入口付近でのにわか雨。左奥の沖合いの海は晴れ。晴雨の対象がおもしろい作品です。街道に沿って宿が連なり、寒さと雨を避けながらようやくたどり着く安堵感。右手には丸みをもつ高麗の山裾が描かれています。曽我十郎の愛人虎御前のこもった高麗山の伝説から、十郎の死を悲しんで流したであろう涙を「虎ヶ雨」とたとえ、題名につけたのでしょうか。